船戸研究室の研究内容

 半導体を用いた発光・受光素子は,照明,ディスプレイ,情報通信など多様な分野で活用されており,現代社会を支える基盤技術の一つとなっています. 私たちは,こうした光半導体の応用領域は今後さらに拡大し,私たちの生活や産業の在り方に大きな変革をもたらすと考えています. たとえば,ウィルス対策や水の殺菌,工業プロセスなどの分野では,紫外光を出力する高効率な発光ダイオード (LED) やレーザーダイオード (LD) の開発が強く求められています.また,可視光領域においては, 色を自在に制御できるスマート照明や,極小フルカラーLEDを高密度に集積した超高精細ディスプレイなど, 従来にない光機能デバイスの実現が期待されています.このような次世代光デバイスとその応用システムの実現に向けて, 私たちの研究室では以下の三つの柱を中心に研究を展開しています:
 1) 光半導体の結晶成長技術の開発 ― 光半導体を「作る」
 2) 新たな光物性や光現象の発見とその解明 ― 光機能を「測る」
 3) ナノ・マイクロ構造制御による新しい光機能の創出 ― 光機能を「創る」
これらのテーマはそれぞれ独立しているわけではありません.たとえば,基礎物性の理解を新たな光機能デバイスの創出につなげる, など,研究全体を有機的に結びつけながら,革新的な光機能デバイスの実現に挑戦しています.

研究テーマ1: 不均一性の設計的導入による光半導体の機能革新

 本研究では、これまで排除対象とされてきた半導体結晶内の不均一性を、あえて設計的に導入・制御するアプローチを構築し、 均一結晶では実現できなかった新しい光・電子機能の創出に挑戦しています。特に、結晶表面に導入した所望の微細構造によって、 半導体光材料の結晶成長ダイナミクスを微視的スケールで自在に操る技術に注目しています。これにより、 微小空間で多彩な光学特性を設計し、それに基づく革新的な光機能デバイスの実証に取り組んでいます。

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研究テーマ2: 二探針プロープによる走査型近接場光学顕微鏡の開発

 船戸研究室では、二探針プローブによる走査型近接場光学顕微鏡(DSNOM)を新たに開発しました。 これにより、半導体・絶縁体試料におけるキャリア・励起子の拡散の様子を超解像で可視化できるようになりました。 この技術を特許出願し、民間企業に技術移転することで、DSNOMの製品化をすることにも成功しています。 現在は、DSNOMのさらなる改良に取り組んでいます。

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研究テーマ3: 深紫外発光AlGaN/AlN量子井戸構造の作製

 現在、既存光源に取って代わる高効率紫外光源の開発が求められています。 船戸研究室では、AlGaN/AlN量子井戸構造に着目し、 原子レベルで制御された結晶構造を作製することで、高効率深紫外発光を実現することに成功しました。 この成果によって、研究室の博士課程学生が、 国内会議で発表奨励賞を受賞し、また招待講演を引き受けることとなりました。

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研究テーマ4: 窒化物半導体における励起子・キャリアダイナミクスの研究

 "電子のポテンシャルが不均一であることが、青色発光ダイオードの高効率発光に繋がっている"、ということを明らかにした我々の論文は、 1998年下半期の論文被引用件数で物理部門の世界4位になる等、大変な注目を集めました。現在も、窒化物半導体における励起子・キャリアダイナミクスの研究を継続して行っており、 空間・時間分解能がそれぞれ10 nmと10 psと世界最高性能の時空間分解分光装置を用いて、 さらなる知見の獲得を目指しています。

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研究テーマ5: ScAlMgO4基板上への可視発光ダイオードの作製

 更なる省エネルギー社会の実現に向けて、発光ダイオード(LED)の発光効率をあらゆる波長領域で向上させることが求められています。 そこで川上研究室では、新奇基板材料であるScAlMgO4に着目し、 ScAlMgO4基板上InGaN LEDを作製することに初めて成功しました。 本研究は、低い発光効率に留まっている緑、黄、赤色LEDの発光効率向上に繋がるものであり、 この成果を発表した研究室の博士課程学生の論文が、 Applied Physics Express誌のSpotlightsに選ばれました。

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