川上研究室の研究内容

 川上研究室では、青・緑・赤枠に示す3つのことを主目的と設定して、研究を行っています。 新規分光評価技術の確立は新しい光現象の発見に繋がるように、それぞれの研究テーマを有機的に結びつけることが重要であると考えており、 研究室内で密接に連携を取り合って研究を進めています。

 以下では、川上研究室で行っている具体的な研究テーマの一例を示します。見出しの数字(例:1, 0, 0)は、それぞれの研究内容が、 上の三角形のどの辺りの位置付けにあるかを成分表示で表しています(和をとると1です)。

 なお現在、川上研究室は科学研究費補助金 特別推進研究 20H05622「発光シンセサイザー:究極の発光デバイス創成を目指して」の支援を受けています(令和3~6年度)。 この研究課題の詳細はこちらです。
窒化物半導体におけるナノ・マイクロ構造中から任意の波長の光を高効率で発光させるための技術を確立し、究極の発光デバイスを創成することを目的としています。

研究テーマ1 (0.7, 0.2, 0.1): 二探針プロープによる走査型近接場光学顕微鏡の開発

 川上研究室では、二探針プローブによる走査型近接場光学顕微鏡(DSNOM)を新たに開発しました。 これにより、半導体・絶縁体試料におけるキャリア・励起子の拡散の様子を超解像で可視化できるようになりました。 この技術を特許出願し、民間企業に技術移転することで、DSNOMの製品化をすることにも成功しています。 現在は、DSNOMのさらなる改良に取り組んでいます。

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研究テーマ2 (0.7, 0.2, 0.1): 深紫外発光AlGaN/AlN量子井戸構造の作製

 現在、既存光源に取って代わる高効率紫外光源の開発が求められています。 川上研究室では、AlGaN/AlN量子井戸構造に着目し、 原子レベルで制御された結晶構造を作製することで、高効率深紫外発光を実現することに成功しました。 この成果によって、研究室の博士課程学生が、 国内会議で発表奨励賞を受賞し、また招待講演を引き受けることとなりました。

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研究テーマ3 (0.5, 0.3, 0.2): 窒化物半導体における励起子・キャリアダイナミクスの研究

 "電子のポテンシャルが不均一であることが、青色発光ダイオードの高効率発光に繋がっている"、ということを明らかにした我々の論文は、 1998年下半期の論文被引用件数で物理部門の世界4位になる等、大変な注目を集めました。現在も、窒化物半導体における励起子・キャリアダイナミクスの研究を継続して行っており、 空間・時間分解能がそれぞれ10 nmと10 psと世界最高性能の時空間分解分光装置を用いて、 さらなる知見の獲得を目指しています。

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研究テーマ4 (0.7, 0.2, 0.1): ScAlMgO4基板上への可視発光ダイオードの作製

 更なる省エネルギー社会の実現に向けて、発光ダイオード(LED)の発光効率をあらゆる波長領域で向上させることが求められています。 そこで川上研究室では、新奇基板材料であるScAlMgO4に着目し、 ScAlMgO4基板上InGaN LEDを作製することに初めて成功しました。 本研究は、低い発光効率に留まっている緑、黄、赤色LEDの発光効率向上に繋がるものであり、 この成果を発表した研究室の博士課程学生の論文が、 Applied Physics Express誌のSpotlightsに選ばれました。

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